連結基礎論点 ~成果連結 商品の未実現利益の処理②~(10分記事)
こんにちは。weaponです。
最近雨が多いですね。そのかわり気温がだいぶ涼しくなってかなり過ごしやすくなった気がします。このような季節の変わり目は体調を崩しやすいのでくれぐれも体調には気を付けてくださいね。
さあ、今回も連結会計の未実現利益の論点にまいりましょう。前回は期末において未実現利益がある場合について扱いましたので、今回は未実現利益が実現する際の仕訳について、掘り下げていこうかなと思います。
未実現利益の会計処理
まず、前回はどんな感じだったかというと…
こんな感じでしたね。今回はこの期を×1年度として、×2年度に商品が売れた場合を想定しようと思います。
1. ×2年度は、当社はA社に対して何も販売を行いませんでした。
2. A社は、外部の販売先に対して残りの商品(原価2,500)を3,000で売りました。
3. 期末に残っている商品は0でした。
さて、前回と同じように個別上の仕訳を見ていきたいと思います。
こんな感じです。ここまでは大丈夫でしょうか?
さあ、連結財務諸表の作成に話を進めていきましょう。
皆さんはすでにご存じとは思いますが、連結財務諸表を作るにあたってはその期(×2年度)の個別財務諸表を単純合算し、それに連結修正仕訳を加えたうえで完成させるというプロセスをたどります。何が言いたいかというと、×1年末に連結修正仕訳を行っても、×2年度には引き継がれません。そのため、×2年度においても×1年度(支配を獲得して子会社になった期から)の連結修正仕訳をしなければならないということです。
それでは、そのあたりも踏まえて未実現利益の実現の連結修正仕訳を見ていきましょう。
未実現利益の実現の仕訳は、大きく2つの要素があります。その要素とは、
1. 個別上前期に計上してしまった未実現利益と、過大に計上されてしまっている商品を直してあげる(つまり、当期首の繰越利益剰余金と商品を修正してあげる)要素
2. 当期において行った決算整理仕訳を、企業集団観点からの仕訳に直してあげる要素
です。
1については、先ほど説明した通り、その期の個別の財務諸表を合算しておこなうことから生じるものですね。この会計処理の説明は以下の通りです。
この仕訳をきることによって、×2年度の期首の財務諸表の値が連結仕様になりましたね(実は、×1年末にきった仕訳の「売上原価」となっていた部分が利益剰余金期首残高に変わっただけです)。
さらに、2の要素も見ていきましょう。さきほどの個別上の決算整理仕訳は、A社の個別上の期首商品2,500を前提にきられた仕訳ですので、企業集団から見た期首商品1,500の仕訳に修正します。
両者を合わせることで、商品の中に含まれていた未実現利益の実現の連結修正仕訳が完成します。
結果的な連結修正仕訳を見てみると、意味合いとしては「前期に利益として計上してしまった結果大きくなった利益剰余金期首残高を取り消して、そのかわりに当期に実現しているから、当期の利益を大きくする」といった感じですかね。
前回のお話とセットにして、成果連結をマスターしちゃいましょう!!(アップストリームや税効果が絡んでくるとまた複雑な仕訳になりますが、それについてはどこかで説明しようかなと思います)
今回は以上です。これで商品に関する成果連結は大枠で理解できたのではないかなと思います。次回も財務会計においては成果連結を扱います。その内容は、
「残存価額が0ではない償却性資産を企業集団内部に売却した時の連結上の処理」
です。たぶん処理の仕方を覚えている人も多い論点かと思います。そこを掘り下げてみますので、楽しみにしていただければ幸いです。
それでは!!おつー